ネタバレごめん!
ロシア映画『ラフマニノフ;ある愛の調べ』を観てきました。
超絶テクニックのピアニストにして、天才作曲家である
ロシアのセルゲイ・ラフマニノフの苦悩と愛のストーリー。
革命のロシアからアメリカに亡命してからのラフマニノフは、
カーネギー・ホールをはじめ、アメリカ各地の熱狂的ファンの前でのコンサートの大成功の裏で、
大移動を伴う、余りにも多忙なスケジュールのため、
精神的、肉体的に日に日に憔悴していき、新しい旋律が生み出せなくなっていた。
更に彼の魂を苦しめたのは、ロシアへの望郷の想い。
初めての交響曲を捧げた年上の女性、ロシア革命の女闘士との情熱的な愛の記憶。
更には、少年時代共に育った従妹との想い出の中心にいつもあったのは、
故郷に咲き乱れていた【ライラック】の花とその香り。
アメリカでの生活で、新しい曲が書けなくなったラフマニノフの魂を救ったのは、
あるご婦人から・・というだけで贈り主のわからないまま届き続ける【ライラック】の花束。
当時のアメリカでは入手が容易ではなかったと思われる、故郷ロシアの花。
彼の妻になった従妹の女性の、どんな時も彼を支え続ける強く寛容な愛が
ラフマニノフをよみがえらせたのでした。
映画の原題もズバリ “LILACS”
*ライラックの花束の贈り主、バラしてしまいました(^_^;)
スキャンダルはイギリス王室の伝統?
『ブーリン家の姉妹』を観てきました。
16世紀のイギリス。
出世欲のために、世継のいないヘンリー8世へ娘達を差し出したブーリン家の父親と叔父。
気立ての良い従順な妹は、王の愛人として男児を産むが、あくまでも私生児。
一方、王妃の座にこだわる野心家でしたたかな姉は、
王をじらしにじらし翻弄して、ついに王妃となるが、生んだのは女児。
どうしても世継を生みたいがためのある事がもとで、断頭台にて処刑される運命に。
姉(悲劇の王妃)が産んだ女の子が、
後のエリザベスⅠ世だという誕生までのショッキングな秘話を知りました。
ママラの好きなスカーレット・ヨハンソン演じるブーリン家の妹が産んだ
ヘンリー8世の男の子のその後の人生にも興味がわいてきました。
甘すぎなくて良かったぁ~
観るまでは、それほど期待していた映画ではありませんでした。
原作者も20歳そこそこの若い女性だし、
若い人にしか共感できないような、現実離れした甘々のラブ・ストーリーに違いないと思ってましたが、
想像した以上に、骨太の(恋愛物に“骨太”という表現が適当かどうかは別として)内容で、
ママラのようなシニア世代にも充分入り込める作品でした。
なんと言っても成功の要因は、ヒロイン役のキャスティングにあると思いました。
気が強そうで、美人すぎない顔立ちのヒラリー・スワンクなればこそ
芯の通ったラブ・ストーリーとして見ごたえがありました。
お母さん役の名女優キャシー・ベイツの存在感も大きかった事はもちろんですが。


只、ひとつ文句を言いたいのは、
エンドロールが流れ出して、映画の余韻に浸っている時、
徳永英明の日本版主題歌が流れてきた事。
彼が嫌いな訳ではありませんが、ここはチガウヤロ~~ッ!!
いっぺんに興ざめしてしまいました(>_<)
5人の観客は観た!
『宮廷画家ゴヤは見た』を観てきました。
スペイン国王から任命された宮廷お抱え画家でありながら、
権力批判と社会風刺の作品を精力的に制作し続ける
天才画家ゴヤの目を通して、
歴史の大きな流れの中で翻弄される個々の人間の無力さ、
権力に執着する事の愚かさとしたたかさ
を描いた重厚なドラマでした。
なんと言っても、この映画の圧巻は、『ノー・カントリー』でアカデミー助演男優賞をとった
主演ハビエル・バルデムの神父役の怪演ぶりでした。
ママラとは逆に歴史に強ければ、
18世紀末~19世紀初めの動乱のスペイン史を背景にした
権力闘争と民衆の様子が、より一層理解できたのでは・・・と悔やまれました(>_<)
この映画を観終わってしばらくは、自分の顔がこわばったまゝなのを感じました。
ヒーローを支える脇役たちも良かったぁ~
『アイアンマン』観てきました。
ヒーローものが、特別好きなわけでもないママラが、
この手の映画をちょくちょく観るのは、いつも何か理由があります。
今回は、大好きな女優グウィネス・パルトローが出ているから。
主人公の実直な秘書という役柄上、彼女の魅力がずいぶん抑えられていたのは残念ですが・・・
それはさておき、とにもかくにも面白い映画でした。
“スパイダーマン”や“バットマン”など従来のヒーローと違って、
変身するわけでもなく、超能力者でもない軍事企業のCEOが、
自ら開発した究極のパワードスーツを装着して“アイアンマン”になりテロ組織に立ち向かう。
15歳でMITに入学した天才的頭脳が開発したアイアンマンのハイテク装備の数々が、
メチャメチャ興味津々で、ウィットにとんだセリフにも笑わせられました。
過日観た『インクレディブル・ハルク』の哀愁漂うヒーロー作品と違って、
観終わった時、思わず笑みがこぼれた映画『アイアンマン』でした。
大人限定ラブ・ストーリー
原題は“Nights in Rodanthe”
ローダンテという海辺の町にある親友のロッジの留守番を引き受けて
季節外れのリゾート地にやってきたダイアン・レインと
その宿のたったひとりの宿泊客であるリチャード・ギアという設定での出逢い。
それぞれが、家族の事、仕事の事がもとで心に傷を持つ大人同志の結び付きは、
恋のために全てを捨てたような若き日の初恋ではなく、
恋のために全てを受け入れる最後の初恋。
強い愛によって、それぞれの人生を立て直すストーリー。
最近感性が鈍くなったのか、めったに泣く映画に出逢わない
鬼ママラの目にも久しぶりに涙が・・・
このタイプの映画は、どういう終わらせ方をするかによって
心が震えるか、それとも甘ったるい軽薄なものになってしまうかに分かれますが、
『最後の初恋』は、心に響く極上ののラブ・ストーリーでした。


何気ない日常着の着こなしも含めて、ダイアン・レインが、断然カッコ良かったぁ~~(^_-)-☆
セレブな被写体
オノ・ヨーコに寄り添う裸のジョン・レノン。
この撮影の数時間後に、彼は暗殺された。
超一流の映画スター・ミュージシャン・スポーツ選手・政治家などなど
世界中のセレブリティを撮り続ける女流写真家【アニー・リーボヴィッツ】
の仕事人として、女としての人生を描いた映画。
彼女のレンズの前では、どんなスターたちも、彼女の意のままの被写体になってしまうワケを、
各界のセレブへのインタビューや、撮影裏話を基に綴るドキュメンタリー。
Sex and the City
ニューヨークの独身女性4人の本音を描いた大ヒットTVドラマの映画化。
ドラマの最終話から4年後という設定の『セックス・アンド・ザ・シティ』を観てきました。
2時間半、テンポの良い展開で、全くダレる事無く、
時々クスリ(*^_^*)と笑わせても、もらったが、
はたして、ママラはこの映画の事をいつまで覚えているだろう・・・
と思わずにはいられないほど、‘余韻’という言葉からは程遠い映画でした。
ただし・・男選びには筋の通った信念を持てない彼女達ではあっても、
女同士4人の友情、というか、その結束の固さにおいては最強軍団になりうる・・
そんな主人公達の関係が心地よかった。
また、世界各国の有名ブランドの新作コレクションが堪能できるし、
そして何より、 『ドリームガールズ』 でアカデミー助演女優賞を獲った
ジェニファー・ハドソンが重要な役どころで出演しているのも、嬉しかった。
「僕は母を殺した」
実在したアメリカの大富豪の家庭で起きた、息子による母親殺害事件。
貧しい境遇から抜け出すために、金持ちの男と結婚し、1人息子をもうけ、
上流階級の生活の幸せを手に入れた女性が、
夫に去られ、ついには愛する息子に殺された実在の女性の物語。
息子のガールフレンドと不倫して家を出た父親に対して、
息子は、自分の事より、傷ついた母親の事だけを思いやるほど
母親に愛情を抱いていた息子が、母親殺しにまで至る心理が分かりにくい。
たった2人取り残された母と息子の、依存と偏愛の果ての悲劇・・・?
母親の死体を前にして、デリバリーの食事を取る息子・・・
美しい母の、自分に対するゆがんだ愛と依存から解き放たれた表情が、
彼の母親殺しの動機を物語っているようでした。
…そしてハルクになる道を選んだ

ホールソレイユ通いが続いています。
きのう観たのは、「インクレディブル・ハルク」(原題も“The Incredible HULK”)
先日の「幻影師アイゼンハイム」と同じくエドワード・ノートン主演です。
自ら人体実験中の放射線事故が原因で、
怒りや、興奮などにより心拍数が200を超えると
肉体が巨大化し、インクレディブル(=信じられない)なパワーを持つ
ハルク(=廃船)に変身してしまう科学者の苦悩。
彼のパワーを兵器として利用しようと企む執拗な軍の追跡を逃れながら、
ブラジルで(普通の人間に戻るための)治療薬の探究に取りかかるが・・・
ヒーロー物とか、モンスター映画はNGのママラが、この作品を観たのは、
同じ科学者である恋人の身を守るため、そして軍の危険な暴走と闘うためには、
人間としての自分の尊厳を失っても、『ハルク』になるしかない主人公の
生身の葛藤を描いた物語であるから。
恋人以上の友達?
大学時代から10年来の大親友であるニューヨークの男女。
相手の恋愛遍歴から家族の事情、食べ物の好みまで全て知りつくしている。
お互いの距離があまりに近すぎて、恋愛に発展しない2人のもどかしい関係を描いたラブ・コメディ。
出張先のスコットランドで、フィアンセを見つけてしまった彼女に、
結婚式の筆頭花嫁付添い人(=Maid of Honor)を頼まれた彼は、
はじめて彼女に対する自分の気持ちに気付き、その想いを伝えようとするが・・・
映画の原題は“Made of Honor” で、Maid⇒Made に変えられている意味は?
花嫁付添い人と言えば、普通は未婚の女性が務めるものであるから・・?
原題には、もっとしゃれた深い意味がありそうだが、よくはわからない。
ニューヨークとスコットランドの文化や言葉、結婚式のしきたりなどの
カルチャーギャップに、何度もクスリと笑わせられた気持ちいぃ~映画でした。

マジックにかけられました
お医者さんから言われた安静期間の3週間は過ぎたものの、
家事をゴソゴソやるには、まだコルセットが手離せない。
でもやっと映画館へも出かけて行けるようになったので、少し気が晴れる。
ソレイユで「幻影師アイゼンハイム」を観てきました。

19世紀末のウィーンで一世を風靡していた天才イリュージョニストが、
幼なじみの公爵令嬢を、皇太子との意にそまない結婚から取り返すために、
一世一代の大がかりな究極の愛のイリュージョンをしかける・・・
魅入りました!! 酔いました!!
最後の最後で、フラッシュバックのようにトリックが明かされました。
音楽ファンには観てほしい映画
前評判の高かった『マイ・ブルーベリー・ナイツ』には、拍子抜けさせられましたが、
ホールソレイユ2で、ひっそりと(?)上映されていた
『onceダブリンの街角で』は、確かに地味なアイルランド映画ではありましたが、
全編アコースティックライブに身を置いているような、満たされた時間でした。
あのシネマ・コメンテイターなら、さしずめこう言うでしょうか・・
“唇を重ねる事も、からだを重ねる事もなく、
好きな音を重ねることで、わかり合えるふたり・・・”
一緒にメロディーを作り上げていった音楽を愛する貧しいふたりの
別々の人生が、この映画の先にはあるのでしょう。
犯人は?真実は?
先週観たフランス映画『潜水服は蝶の夢を見る』は、
ある日突然、左目以外の全ての身体の自由を失った
ELLE誌編集長の感動の実話であるにもかかわらず
不覚にも、ウトウトしてしまったママラですが
今日の『バンテージ・ポイント』は、実に面白かった。
大統領狙撃を目撃した8人の、それぞれの異なる視点を、
この事件が起こる前に、巻き戻して映し出してゆく・・・という手法が斬新。
全くムダのないスピード感溢れる展開で、真相探しに引き込まれた。
身を挺して、大統領を守りぬくシークレットサービス役の
主演のデニス・クエイドが渋かったぁ~(^_-)-☆

美しい邦題

今週観た『いつか眠りにつく前に』は、
深く静かに、心のヒダにしみいるような作品でした。
原題は“Evening”
人生の末期(=evening)を迎えた老婦人が、
死の床にあって、朦朧とした意識の中で、
過去の恋、果たせなかった夢などを
悔いと共に回想してゆく・・・
ある程度(?)齢を重ねた女性、
過去の人生に、あれやこれやあった女性・・・必見です。
ついに決定(^_-)-☆
ママラとしては、昨年秋に『エディット・ピアフ ~愛の讃歌~』を観た時点で、
主演女優賞は、ピアフ役のマリオン・コティヤールが選ばれるべきだと思っていたので、
受賞が実現してすご~く満足です。
その他の主要部門の受賞作品は、
これから公開される映画が多いので、待ち遠しい・・・
候補にあがっていた主演男優賞『スウィーニー・トッド』のジョニー・デップが
選ばれなくて、ホッとしました。確かに彼の熱演は認めますが、
ママラを1ヶ月以上もミンチ肉嫌悪症にした、
あんなグロテスクな作品が選ばれては、アカデミー賞のセンスが疑われます。
2人の女性の魂の叫び♪

ドイツ映画『4分間のピアニスト』
80歳代の現在まで、刑務所で囚人や看守相手にピアノを教えている、
古典音楽以外に関心を示さない厳格な老ピアノ教師と、
子供時代から類まれなピアノの才能がありながら、
現在は殺人の罪をかぶって収監されおり、刑務所内でも凶暴な若い女囚。
共に忌まわしい過去があり、そのトラウマから
内に激しい感情を閉じ込めたまゝの老ピアノ教師と、
自分をコントロールできずに暴力的な行動に出る若い女囚。
刑務所の掟を破って、才能ある彼女をピアノコンクールに出場させる事にかける教師。
怒りのエネルギーをぶちまけた驚愕の4分間の演奏のあと、
2人の女性が始めて魂を通わせるエンディングは、
この重く暗い映画の中で、爽快な気分にさえさせてくれた。